2011-10-05

機長が語るヒューマン・エラーの真実

前回の記事に引き続く内容ですが、現役ジャンボ
機長の杉江弘さんが書かれた本です。




CRMの概念や歴史については前回の記事にある
関連リンクにも掲載されていますが、杉江さんは、
著書の中でこの目的を「安全で質の高い運航を
確保するため、すべての利用可能なリソース、ハ
ードウェアおよび情報を効果的に活用し、運航乗
務員のチームとしてのトータルパフォーマンスを向
上させること」としています。

しかし、CRMを実行すれば本当に安全なのか?と
いう疑問についてこのようにも書いています。


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世界の航空会社や行政機関は、ヒューマン・エラ
ーをなくすためにこぞってCRM(コックピット・リソー
ス・マネージメント)という活動プログラムを金科玉
条のように採用し始めている。

しかし結論的にいうならば、CRMの理念は間違って
はいないが、その前提として、パイロットなどに高度
な安全教育と訓練を行い、プロフェッショナルな知識
と技量を持たせなければならない。この点、航空界
には経営者から現場のパイロットまで、CRMへの誤
解が蔓延しているといってよい。実際私の周りの部
長職にある何人もの乗員からも、「本当は私もCRM
が良くわからないんですが」と率直な意見が出される。

詳しくは、後述のCRMの項を読んでいただきたいが、
CRMプログラムを十分にやっていれば事故がなくな
るという考え方は、完全に間違っているといいたい。
CRMが我が国に導入されて早や二〇年、二〇〇五
年の初めから立て続けに発生した航空会社のヒュ
ーマン・エラーによるトラブルの多さと内容を見ても、
そして二〇〇六年に入っても同様のトラブルが発生
していることを見ても、それは明らかであろう。

はじめに(P.4)より

※この本は2006年が初版です(筆者注)
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では、どうしたらヒューマン・エラーによる事故を防止
することができるのでしょうか?

それには、"ヒューマン・エラーの真実を知ることが、
事故防止の第一歩になる"とし、決定的なエラーが
いつ、どのような状況で起こるのか、統計的・科学
的に分析すれば十分に予防できる"と主張します。

詳しい内容をさらに書きたいところなのですが、時
間的な制約もあるので次回に続けます。


■関連リンク
ヒューマンファクター事始

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