第一次大戦下のドイツ軍捕虜収容所を舞台に
航空兵の脱走劇を描いた1937年のフランス映画
です。
監督であるジャン・ルノワールは、著名な印象派画
家の次男として生まれ、偵察航空隊のパイロットや
航空撮影カメラマンとして第一次大戦に従軍してい
たとか。
この作品を知ったきっかけは、僕がコーポレート・ガバ
ナンスの授業を受講した際のカリキュラムでした。
ヨーロッパの貴族階級にある人々のメンタリティを知る
上で鑑賞することになったのだと今は思いますが、観
終えた後に、貴族出身のフランス軍将校であるボワ
ルデュ大尉が白手袋をはめて仲間の脱走を助ける
場面が、実はとても重要な描写であると授業の担当
教授から教えてもらったことは非常に新鮮な印象と
して残っています。
というのは、この「白手袋」は侍がハラキリをするとき
に白装束を着るのと同じで死を覚悟した心理の表
現だというのです。
何も前提知識がないとあまりにさりげなくて解釈もせ
ず見過ごしてしまうような場面ですが、ハラキリと同
義となれば見方が全く違って来ますし、理解の有無
で作品が全く別物になってしまうとも言えるでしょう。
このあたりは、文化の違いによる解釈の相違と言う
のは簡単ですが、その重みを感覚的に理解できた
体験でしたね。
貴族階級同士の間に残る騎士道精神の雰囲気
など、画面の端々から風格を感じる作品です。
■関連リンク
名画倶楽部 大いなる幻影
復元プリントで 初めて明らかになる、ルノワール『大いなる幻影』の真実
水原文人
La Grande illusion / Grand Illusion / 1937 / film review
2008-04-03
大いなる幻影
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